我妻教育2
エプロンの裾で涙を拭い、チヨさんはまた笑顔になった。

「さあさ、お召し上がり下さい」


「いただきます!」

チヨさんの朝食。

和食。お味噌汁に焼き魚。海苔とご飯。

しょっぱい卵焼き。鮮やかな黄色。ふわふわで美味しい。

「チヨさんのしょっぱい卵焼き!!ふわふわ!懐かしい!」

どうやって作ってるんだろう。興味深い。


「お砂糖を少し入れてるんですよ。そうするとふわふわに仕上がります」

「そうなんだぁ!試してみよう」


でも多分、これはチヨさんにしか出せない味だ。

料理ってそういうものだと思う。


お母さんのビーフシチューも似たようなものは作れても、完全に再現できないのと同じ。
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