我妻教育2
『見合いの話だよ!言ってただろう?鯛ヶ崎家の跡取りとの見合いだ。

先方の御子息は乗り気で、早くお前と会いたいって言ってる。日取りを決めたいんだ』


日曜のおじいちゃんの法事で言ってた見合いの催促だった。

…出るんじゃなかった。


「やめてよ!お見合いなんてしないって言ったよね?今あたしそれどころじゃないの!もう切るよ?」


『待ってくれ!!こっちも切羽詰まってるんだ!!』

思わず携帯を耳から離してしまうほど大きな声に顔をしかめた。



5年前、啓志郎くんと別れたあの後、あたしの家は色々あった。


おじいちゃんが会長職を引退して、この“父”がカキツバタ商事を完全に引き継いだ。

それから父は、当時秘書をしていた“母”と再婚をした。
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