新撰組異聞―鼻血ラプソディ
「……あんな腐った奴とは二度と刀、交える価値ない」


「これはまた手厳しい」



「次、遭遇したら竹刀で喉を突いてまいそうや。
あんな堕落した剣士は要らん」


「芹沢さんが居たら、腕1本ではすまないでしょうね」



山南が涼しい顔で言う。




「あの……本題は、目隠しの件ちゃいますか?」


目を閉じたまま翡翠は訊ねる。


「俺……沖田さんと見廻りしてて思ってんけど、今のままやったら……ただの居候やなって……沖田さんのあんなに緊張した背中……。
自分が情けなくて……強くなりたい。めちゃ強くなりたい。
あんな背中を向けられんように」



土方は、ひしひしと伝わってくる翡翠の意志に深く頷く。



「翡翠、試してみる?」



「はい」



「思っている以上に大変ですよ」



山南が水を差す。



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