新撰組異聞―鼻血ラプソディ
「信太……さん」


「……新撰組って名前聞くたび、かっこええなって思てたんや。
俺は浅葱色の隊服、着てみたいと思う」


ふわりと微かな風が感じられ、ギュッと強く抱き寄せられる。


耳元に聞こえる微かな嗚咽と、肌に触れる吐息、体に伝わる震えに、俺は山南さんをギュッと抱きしめ返す。


「泣きたいときは思い切り泣くもんや。
偲び泣くもんやない。
辛い時は声あげて泣くもんや」


俺、何を言うてんのやろ!?
アホちゃうか。
何か……めっちゃ決めてる気ぃする。


さっきまで、泣きたいくらい計画聞いたことを後悔してたんが嘘みたいや。


ほんで、こんだけギュッって抱きしめたり抱きしめられたりしながら、鼻血出そうになれへんって何でなん!?


俺の中で、女を感じる基準って……何!?



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