新撰組異聞―鼻血ラプソディ
ちゃんと休めただろうか?
捲き込んで良かったのだろうか?

芹沢に酒を勧め、話を合わせ、陽気にさせ、時をかせぎながらも、後悔と迷いに心が揺れる。


「土方、沖田が拾ってきた坊やはどうしている?」

芹沢がお椀で酒を煽り、土方に訊ねた。


「あの子が何か」


「大した剣気だよ。竹刀で刀を相手に突っ込んできた。
あれは……鍛えようによっては沖田を越える剣士になる」


「芹沢さんもそう思いますか。面白い剣士ですよ」


「翡翠……翡翠流の翡翠かい?」


「翡翠流!?」


「徳川を300年に渡り支えているという風水四神、北方を護る玄武の系譜を継ぎ、代々骨董商を営んでいるという、亀甲紋の武家が、確か翡翠と言わなかったかと……昨晩、思い出してね」


「翡翠……あの子の出自は詳しく聞いちゃいません。
て言うより、当人の記憶が定かではないんですよ」

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