新撰組異聞―鼻血ラプソディ
山南は平然とこたえる。


「武田観柳(たけだみり)さんは新入隊された方ですよ」


「……武田って、やっぱり金八先生が……」


「信太さん、お手玉を道場に運びましょうか。明朝の準備を済ませましょう」


――スルー!? 山南さん……そこ、ツッコミしないん!?


翡翠は見放された感に、唖然とし鼻血混じりの鼻水を手拭いで拭きとる。

お手玉の入った風呂敷を渋々と、両手に抱える。


――ああいう感じの方もダメですか……なかなか手強いですね。信太さんの女性恐怖症は


山南はお手玉の入った風呂敷を抱え、翡翠の様子を見ながら、どうしたものかと考える。


山南が障子を開け、廊下へ出ると、竹刀を握った武田観柳が素振りをしている。

何でこんな所でと思いつつ、山南は「精が出ますね」 と声をかけてみる。


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