新撰組異聞―鼻血ラプソディ
「山南さん、すんません。お手玉をザルに分けていきます」


山南が竹ザルを数えると4つある。


「残りは竹籠に二等分くらいに入れます」


大量のお手玉、呉服屋はいったい幾つ作ったのか


山南は、風呂敷を見つめながら思う。


「今、風呂敷の中を数えたら、風呂敷1つに100個入ってます」


「……ということは千個あると」


「はい。ザルに600、竹籠には400使おう思います」


言いながら翡翠は風呂敷の結びを解き、ザルに流し込む。


「山南さん、梯子はどこにあるんでしょう? 倉庫には入ってなかってんけど」


翡翠は作業をしながら訊ねる。


「梯子ですか、八木邸の女中なら知っているでしょう」

山南は穏やかに言う。


「女中……ですか」


翡翠は大きな溜め息をつき、渋々と道場の出口へ向かう。

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