新撰組異聞―鼻血ラプソディ
翡翠はホッと胸をなで下ろす。


1度も話したことのない女中より、原田や永倉のほうが気分的には楽だと思う。

「では、一子さんは原田さんたちをあたってください。私たちはお女中に訊ねてみます」


「ゲッ、゚。(p>∧<q)。゚゚マジか」


思いの外、大きな声が漏れ、翡翠は慌てて両手で口を隠す。


斎藤が微かに口角を上げ「了解」とこたえ、山南が何も聞かなかったように使用人用の間口へ向かう。


シュンと肩を落とした翡翠の目に、おかっぱ髪で瓶底眼鏡の姿が映る。


(・□・;)!!――シュワッチ!!


身構え立ち止まり、顔の前で手刀を作った翡翠を、山南が振り返る。


「信太さん、気を引き締めてください。精神統一です。いつでも木刀を抜く覚悟でいてください」


「……はい」


――金八……そんなすごい剣士なのか


緊張した山南の後ろ姿に、翡翠の緊張も高まる。


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