新撰組異聞―鼻血ラプソディ
男の子の肩を支え、目当ての大福餅を買えずに宿まで戻る。


ったく、面倒くさい見廻り、大福餅が楽しみで出てきたのに……。
大福餅の代わりに男の子を拾うなんて……。


ぶつぶつ言いながら宿に戻る。



門柱をくぐると、見つからないように、そっと屋敷に入る。



男の子を起こせば楽だが、起こせば男の子は、異常な反応をするだろうと思うと、起こす気にならない。



切れ長の凛とした目をした人に、取り敢えず引き合わせてと奥の部屋へ向かう。


上手い具合に部屋まで誰にも会わず、たどり着く。



勢いよく襖を開けると、「入る時はお伺いを立てなさい」と叱られる。



「だって、重かったんだもん」


甘えた声を出しながら、男の子を畳の上に転がす。



着物の袖と袴が、鼻血でベッタリ汚れていた。



「何、この男の子は?」


「拾ってきたの」



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