新撰組異聞―鼻血ラプソディ
言いながら本の中身をパラパラ捲る。


この文字は……筆で書いたものではない。


横線の入った白い紙の方もパラパラ捲ってみる。



こちらも、筆ではないし
数字、漢字、ひらがな……この文字は?


「どうかしたの?」



正直にこたえたら、たぶん不味いことになると思う。


「刃物とか密書はないみたい」

と誤魔化す。


「名前がわかる物は?」



男の子の着ている物をあれこれ調べ、紺色で手のひらに乗る位の本を見付ける。

中を開くと、男の子そっくりな色のついた絵が貼られ、文字の書かれたものが挟まっている。


「……翡翠信太、兵庫県神戸市……?」


読み上げた文字にピクリ、土方さんの顔が険しくなる。


「兵庫県神戸市……聞いたことがないわね。起こして尋問しないと怪しいかどうか、わからないようね」



男の子を揺さぶり起こそうとする土方さん。


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