新撰組異聞―鼻血ラプソディ
「ダメ、ダメ、ダメです。起こしたら、鼻血が……」


「鼻血!?」



「大変だったんですよ。近づいて声をかけただけなのに蒼白になって、痙攣しだしたり、鼻血出したり」


「何処か悪いの?」


「さあ……でも尋常ではない反応で」



「いずれにしても、事情を聞かないと何もわからないわ。

何処か悪いなら医者に任せるしかないし」



「でも……」



「起こしなさい」



キッと睨んだ土方さんの顔があまりに恐くて、「はい」と返事をして男の子の名前を呼ぶ。



「翡翠、翡翠、おーい、翡翠」


「……生温い、もっとしっかり」


「翡翠! おーい、翡翠!!」



「退きなさい、『ちんた』起きろ!!『ちんたーー!!』」



へっ!? ひ、土方つあっん、『ちんた』ではなくて『信太』ですって



あまりの言葉に声を失う。


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