新撰組異聞―鼻血ラプソディ
敗けへん、俺は負けるわけにはいかんねん。


直心影流(じきしんかげりゅう)――柳生宗厳(石舟斎)が新陰流を相伝された剣術。


戦国時代から続く剣術、俺も剣士の端くれや。


一太刀、ただ一太刀でも、穴を開けたい。




面も胴も小手も交わされる。


俺の動きも技も、全て見切られる。


沖田さんの剣は確実に、俺を捕らえて離さない。


一発も交わせない。


息が上がる。


体が思うように動かなくなっていく。

体力を奪われていく。


動きが読めない。


速すぎて見えない。



自然体で、ふわりすり抜ける。


気がついたら……当てられている。


――風の剣。



沖田さん。

それでも、俺は1本を何としても取りたい。

いや1本、取ってみせる。


何が何でも……明日は。



「負けられへんねん。1本決めなあかんねん!!」

< 38 / 164 >

この作品をシェア

pagetop