新撰組異聞―鼻血ラプソディ
普通の摺り足をして、あんな豆はできない。

もう1つは、翡翠くんが返し専門の剣士ではないこと。


どこを攻めても綺麗で完璧な体制で、姿勢が崩れない。


交わした瞬間に攻める体制ができる俊敏さ。

技の種類も多種多様、目隠しでなければ……土方さんと互角にやりあえるほどの剣士だと思える。



けれど……あれでは――。

あの異常すぎる反応や症状では、屯所生活は難しいなと思う。


――沖田さん……俺の住んでた世界には、星の形をした甘くて小さいお菓子があります……この世界にもあるかどうかわからへんけど



翡翠くんとの会話を思い出す。



――あの……もし、俺が沖田さんから1本取って、此処に居られる資格がもらえたら……星の形をした『金平糖』探しに行きたいです……鼻血のお詫びに




もし1本取れたら……の会話。

けれど、彼は「もし」なんて考えてなかったのかもしれない。

< 79 / 164 >

この作品をシェア

pagetop