新撰組異聞―鼻血ラプソディ
市中見廻りも、そこかしこに女性がいる。


それにいちいち、怯えていては、見廻りも勤まらない。



1本取って自分で、ここにいる資格を掴んだ……けれど、これからが翡翠くんにとっては……。


ん……翡翠くんのことばかり考えている?


ハッとする。



ここで頑張ってほしいと思う。
ここに居てほしいと思う。


自分が拾ってきたから気になるのか、あの一生懸命さが気になるのか、わからない。



「お、沖田さん……すみません」


駆け出して逃げたまま、翡翠くんは戻ってこないだろうと思っていたのに。


見廻りに出ようと思った時、か細い声に振り返る。



「翡翠くん!?」


憔悴しきった顔で頼りなく、翡翠くんが立っている。


「……約束してたんが気になって……1本取って、ここに居られるようなったら、金平糖探しにいきたいって……俺、沖田さんに話したから」



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