新撰組異聞―鼻血ラプソディ
翡翠くんに子供がまとわりつく。


沿道の商売人や通行人などが、翡翠くんを物珍しげに見ている。


翡翠くんは気にしてないのか、気づいてないのか、歌を止めない。



延々と繰り返す。



翡翠くんが土方さんから、書状を預かったという御棚(お店)は、呉服問屋の越後屋さん。


翡翠くんが、驚いたような顔で店を見回す。

書状を翡翠くんから受け取り、番頭に渡す。


しばらくすると、中から大旦那が出てきて、翡翠くんの背格好をしげしげ見つめる。


「適当に見繕って、こちらからお届けにあがらしてもらいます。土方さんに宜しくお伝えください」



大旦那が深々と頭を下げる。


「お願いします」


店を出て、更に歩く間も翡翠くんは歌を歌う。


繰り返す歌をすっかり覚えてしまうほど、何回も聞いている。




「金平糖屋さん、探しながら見廻りしようか」


翡翠くんに声をかける。
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