新撰組異聞―鼻血ラプソディ
翡翠くんの顔に笑みがさす。


初めて腰に差した真刀の重さも、翡翠くんにとっては、不安のタネに違いない。


侍や狼士とすれ違うたび、後ろから緊張感が伝わってくる。


張りつめた翡翠くんの気持ちが、痛いほど伝わってくる。



一緒に、金平糖の数え歌を口ずさむ。


「……沖田さん」


「覚えちゃった(^^)」


振り返ると、泣き出しそうな翡翠くんの顔。


「翡翠……くん」


「……すんません」


翡翠くんはポツリと呟き、続きを歌う。


「……♪消えるは電気 電気は光る
♪光るはおやじの はげあたま」



正直、こんなに緊張しながら、こんなにドキドキしながら、ワクワクしながらの見廻りは初めてだ。



織田信長が、食べたという金平糖への期待も、膨らんでいる。


「緑寿庵清水……緑寿庵……あ!! あーーっ!! あった緑寿庵清水」



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