新撰組異聞―鼻血ラプソディ
豊満な胸が着物の隙間から、はち切れんばかりにはみ出し、極道並みの迫力を醸し出しながら、芹沢さんが俺を睨みつけている。



芹沢さんの後ろにはヘナヘナした優男が身を隠くし、こちらを見ている。



「筆頭局長……聞いて呆れんで。
昼間から酒浴びて、優男に抱かれて、腰振って声あげてるようなしょーもない女。
誰が局長って呼ぶねん。ちゃんちゃら可笑しいて、笑いもでーへんな」



芹沢さんの顔が険しくなる。



俺はドキドキしながら、腰に差した竹刀に手をかける。



「威勢のいい坊やだ」



芹沢さんは手にしていた瓢箪の中身を一気に煽り、口を拭うと、俺を目掛けて瓢箪を投げつけた。


俺は咄嗟に竹刀を抜き、投げつけられた瓢箪を竹刀で弾(はじ)き飛ばす。



瓢箪は弧を描いて、芹沢さんの頭上を越え、地面を叩き甲高い音を立てた。



「生意気なことをしてくれるわね」



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