新撰組異聞―鼻血ラプソディ
僅かなフォームのズレも許されへん。

……体の中央を真っ直ぐ通す正中線――。



一か八か……。



「芹沢さん……行くで」



俺は正眼に構え、1歩踏み込み芹沢さんの間合いに飛び込む。



芹沢さんが真っ直ぐに、飛び込みから刀を降り下ろす。



俺は僅かに、体を沈ませ芹沢さんの胴を打つ。


バッシッと鋭い音が響き、芹沢さんが呻き声をあげ、倒れ込む。



「あんた……いったい何を!?」



「胴を打ったんや、普通に」



「……莫迦なッ、途中まで完全に面を狙っていたはず」



「……俺は基本通りに動いただけやで」



「!?……技の読めない打突……面の動きから胴を!?」


「何を不思議そうにしてはるんか知らんけど……。
本来、小手、面、胴は同じ動きから繰り出されるんが基本や。
俺は忠実に基本、守って動いただけや」


「……基本を忠実に!?」


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