新撰組異聞―鼻血ラプソディ
「山南さんも立ち合ってもらいますよ」


土方は腕組をし、愉快そうに笑った。


「観た? 新子ちゃん」


「佐之ちゃん、しっかり観た。あの芹沢さん相手に、あの暴言……あの坊や、なかなかやるわね」


「原田さん、永倉さん。いや~、すっきりしましたね」


「平(たい)ちゃん、喜びすぎ」


「佐之ちゃん。あの子、総から1本は、どうやら紛れ当たりではなかったようね」


「新子ちゃんもそう思う?
確かに、僅かに体がずれたら……芹沢にバッサリ斬られていたかも。
交わしたのも不思議だけど、まさか胴で終局とは」



「芹沢さんがひきつってましたね」



斎藤が翡翠を呼びに廊下を急ぐ。

隊士たちが口々に、翡翠と芹沢の様子を話している。


「あまりはしゃいで話さない方がいい。あの女は黙って引き下がる女ではない」


「確かに……」


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