新撰組異聞―鼻血ラプソディ
「気がけて様子を見ていた方が良さそうだ。
翡翠には、怯えると動けなくなるという弱点がある」
斎藤は声を落として、隊士たちを諭す。
「そうだったわね」
隊士たちの目に不安の色が差す。
「土方さんは、何か秘策を考えているらしい。
それで翡翠を呼びに行くところだ」
斎藤が淡々と抑揚のない口調で言う。
「ん……土方さんは、あの子をえらく、気にかけているようね」
「そりゃー、佐之ちゃん。あれだけの剣士、土方さんが放っておくはずがないわ。
それに、あれだけ端正な顔立ちの子よ」
「まあ~ね。でも、あの総ちゃんでさえ拒絶されたのよ」
斎藤は呆れて先を急ぐ。
初めての見廻り、芹沢との1戦。
斎藤は、翡翠は山南の部屋で、疲れきり眠っているだろうと思う。
「翡翠!……!?」
山南の部屋には誰もいない。
「どこに行った?」
斎藤は屋敷中を探す。
翡翠には、怯えると動けなくなるという弱点がある」
斎藤は声を落として、隊士たちを諭す。
「そうだったわね」
隊士たちの目に不安の色が差す。
「土方さんは、何か秘策を考えているらしい。
それで翡翠を呼びに行くところだ」
斎藤が淡々と抑揚のない口調で言う。
「ん……土方さんは、あの子をえらく、気にかけているようね」
「そりゃー、佐之ちゃん。あれだけの剣士、土方さんが放っておくはずがないわ。
それに、あれだけ端正な顔立ちの子よ」
「まあ~ね。でも、あの総ちゃんでさえ拒絶されたのよ」
斎藤は呆れて先を急ぐ。
初めての見廻り、芹沢との1戦。
斎藤は、翡翠は山南の部屋で、疲れきり眠っているだろうと思う。
「翡翠!……!?」
山南の部屋には誰もいない。
「どこに行った?」
斎藤は屋敷中を探す。