新撰組異聞―鼻血ラプソディ
1対 大勢、まさしくよりとりみどり。

なのに女性恐怖症。


「もったいなーーい!!」


格子戸に張り付き、翡翠に向かって原田が叫ぶ。

翡翠はビクッと後退りし、真っ青になって走り去った。

「佐之ちゃん、脅しちゃダメよ」


「良い男なのに」



翡翠は心臓をバクバクさせながら、土方の部屋の戸を叩く。


「入りなさい」


戸を開け、一礼し顔を上げた翡翠は山南の顔があるのを見つけ、安堵の溜め息をつく。


翡翠が座ったのを確認し、土方は静かに訊ねる。



「君、芹沢さんとの1戦はどうだった?」


翡翠は目を閉じている。

首を傾げ、土方の声音で感情を探ろうとする。


「……あれは真っ当な剣士の気やない。あれでは神道無念流が泣いてはる」


「面白いことを言う。で……真刀と交えて、どうだった?」


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