欲しがり屋のサーチュイン
美木さん、童貞なんだ…。
「わぁぁあ沼田さん止めてくださいその顔!」
うわーんと綺麗な手で顔を覆う美木をみて、千晶はまたもやこのあざといのか可愛いのかよく分からない男をじっと監察した。
ふわふわの髪の下の耳が赤というかもうベビーピンクだ。
正座を崩したその足の角度もあざと可愛い。
どんな顔ですか…と呟く千晶を遮るように橋元がガバッと復活する。
「ちなみに美木さんはどんな女の子がタイプなんすか?!」
あ、それはちょっと気になるなぁと千晶も口からコップを少し離した。
この綿菓子みたいな男は、どんな女子がお好みなのだろうか。想像がつかない。
「…え、…え?…なんですかこれ、答えないといけない雰囲気ですか?」
おどおどと戸惑う美木が、一瞬ちらりと千晶を伺う。
…ん?
ジュースしか口にしていない男が、ポッと頬を染めて視線を逸らした。
「…。」
「…そうですね、その…。」
「うっす!」
「そのー…、、俺の事好きじゃない人、かな?」
…。
ん?
橋元は前のめりのまま、千晶はカップを持ったまま目を点にして動きを止める。
それに気付かず美木は照れながら頭をかいた。
「でも、なんていうか、俺の事が嫌いでもなくて、もう関心がないっていうか、俺の事全く眼中にないって感じの人かなぁ。」
美木は目をキラキラと輝かせる。