欲しがり屋のサーチュイン
*
「では、まず、手を出してください。」
千晶は自宅のソファーで横に座る美木に右手をずいっと伸ばした。
美木はごくりと喉を鳴らし、緊張した面持ちでゆっくりと同じように右手を出す。
この間と同じように片手同士で握手をして、千晶はちらりと美木の様子を伺った。
「…やっぱり、大丈夫みたいですね。」
ほんのりと頬を染めている以外に美木に変わった様子は見られない。
「はい。…ちょっとドキドキしますけど。」
「……んー、その動悸、嫌な感じはしますか?」
「…大丈夫な方のドキドキだと思います、多分。はい。」
照れたような美木の表情を確認して、ふむ、と千晶は頷いた。
「では、これはどうですか?」
千晶はあいている方の手で、握手している美木の手の甲をするりと撫でる。
「……っ!」