欲しがり屋のサーチュイン
千晶は意図的に笑顔を作りお礼を言った。
「わぁ、嬉しい。ありがとうございます。」
「…千晶さんの無邪気な笑顔は嘘臭い。でもそんな所も好きです。」
「…反応に困ること言いますね。」
さりげなく名前で呼ぶし、妙に勘はいいし、求愛はしてくるし、不貞腐れたままだしと、千晶は対応に困って苦笑いを浮かべる。
「…あぁ、そっちの笑顔の方が千晶さんらしいです。」
そんな事を嬉しそうな笑顔で言われて、千晶は呆れたようなため息をもらした。
苦笑いが“らしい”なんて言われて喜ぶ女はそういない。
「ワインに合うメニューでもないんですが、変わりに何かおつまみもつくりますね。」
千晶は独り暮らしにしては大きい冷蔵庫を開け、何かないかなと覗き込みながら言った。