サッカー王子と同居中!
あたしはその言葉に何も言えなかったけど、顔を相ケ瀬くんから背けた。
「はいはい、いじめすぎたって」
「本当にそう思ってる?」
「思ってるって。ほら行くぞ」
嘘っぽーい!って、ちょっと!
相ケ瀬くんはあたしの右手をぎゅっと掴むと、家からダッシュで走り出した。
走り出した方向はもちろん、あやが歩いて行った方向。
風を感じるくらい、目の前の風景がどんどん変わっていく。
「待って待って!あたしも行くの?」
「当たり前だろ。山本送った後、家でメソメソ泣いてるやつ慰めんの大変だし」
「誰もメソメソ泣かないよ!」
相ケ瀬くんに手を引っ張ってもらえたことが嬉しくて、卑屈だった自分がどんどん消えていく気がした。