サッカー王子と同居中!
「……ちがう」
やっとの思いで声に出した言葉はたったの3文字だった。
自分でもなんでだか分からない。
自分に余裕があったら、きっと相ケ瀬くんが誰にどんな態度を取ろうとあたしには関係ない。
でも今日の自分はおかしかったんだ。
あたしは本当に相ケ瀬くんにみんなみたい優しくしてほしかったのだろうか。
友達でも、彼女でもなく、ただの同居人なのに?
「だったら別にいいだろ。
俺は好きでそんなことしてんじゃないんだからさ」
さっさと買い物行くぞとボソッと言うと相ケ瀬くんは歩き出してしまった。
あたしも少し距離を置いて、相ケ瀬くんの背中を追う。
結局、そこでケンカをすることはなかったけど、家に帰ってから思い出したかのように相ケ瀬くんに体育着の件で怒られてしまったのだった。