甘噛みイサキちゃん。


「あ、サナダさん。こんばんは」


「もー、イサキさー俺のしたの名前知ってるくせになんで呼ばねーの」


「え?そうですか?いいじゃないですか。サナダって音が好きなんです」


あ、交わしたな。


「えー?ほら今度は敬語だよーもう」


ふふっと笑う。ギネスを口につける。多めによそったカシューナッツを一つつまみ、口に運ぶ。.....顔がほころぶのをみた。


「美味しい?」


「美味しい。好きなんです、本当」


好き。ははは。40前にもなってズキンと心が鳴った。


とくに目立たない顔立ちだけど、たまに見せる小悪魔的な表情と落ち着きが、また不思議な子であり、みんなが惹かれる。


彼女に出会う人は、どうしてかその引力には叶わないのだ。



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