ラブ・カクテル
「シェイカーの強弱が分かるってことは、理沙はバーテンダーなのか?」


文也は真っ直ぐに、あたしの瞳を捕らえる。


その瞳は、何もかも見透かされているようで、怖くなった。


だから、その瞳から逃げるように視線を外す。


あたしは、、、


「違う」


今のあたしは、ただのOLだ。


「何、何?お姉さんも、バーテンダーなの?」


コウが興味深々に聞いてくる。


だから、「違う」って言ったじゃん。


「作ってくれよ。理沙が思う、本当のベルモントを」


文也まで、、、


この2人、あたしの話を聞いていたのだろうか?


「あたし、バーテンダーじゃないから」


もう一度、2人に向って言う。

< 300 / 580 >

この作品をシェア

pagetop