ラブ・カクテル
席に戻ると、オーナーは他のお客さんのカクテルを作っていた。


文也は、そんなオーナーのことをジッと眺めていた。


子供のように、目を輝かせて、、、


本当に、好きなんだな。


きっと今、凄くカクテルを作りたくてウズウズしているに違いない。


バーテンダーを目指す、文也なら、、、


どこかのバーテンダーが作ったカクテルを飲むより、自分で作りたくなるものだ。


「凄いな」


席に付いたあたしに、文也は言う。


「早く、カクテルを作りたいって、顔が言ってる」


それに、文也は恥ずかしそうに笑った。


「ねぇ、文也。、、、ありがとね」


急にお礼を口にするあたしのことを、文也は不思議そうな顔で見つめてくる。

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