ラブ・カクテル
彼はあたしから離れたかと思うと、あたしの唇をなぞる。


そして「チュッ」と、触れるだけのキスをした。


「、、、逃げるなら、今だよ?」


真っ直ぐな瞳で、あたしのことを見る。


、、、逃げる。


それは、これから何をするのかを言われてるようなもの。


あたしは答える代わりに、自分から彼にキスをした。


そのキスは彼によって、段々と深いものへと変わっていく。


あたしはそれを、嫌だとは思わなかった。


むしろ「もっと」と、望む自分が居る。


きっと彼と体を重ねたら、次なんて来ないだろう。


一度きりの関係に、なってしまうだろう。


、、、それでも、いい。


あたしは、、、後悔はしない。


そしてあたしは、彼に溺れたんだ。

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