1%のキセキ
「で、どうしようか、私何する?掃除?洗濯?」
「未結」
「それとも腕によりをかけて料理でも」
「未結、ちょっと座って」
「え?座って洗濯物でもたたむ?」
ソファに座ることを促されているんだろうけど、わざととぼけてその場に座り、助けを求めるかのようにちょうど傍らにあった洗濯かごへ手を伸ばした。
そして、洗濯かごの中から一枚取り出す。
たたもうとした矢先、それが何か気付いてぼっと顔に火がついた。
それは運悪くそうちゃんののトランクスだったのだ。
素知らぬ顔で何事もなかったかのように、ぱっとかごへ戻す。
その一連の様子がおかしかったのか、そうちゃんが笑って吹き出した。
「なぁ、なんでそんなに今更緊張してんの?まぁ、気まずいのは分かるけど」
「べ、別に、気まずくなんかないよっ」
自分でも分かりやすいなぁ、と思ってしまう。
だって言ってるそばから、どもってるし、顔見れないし。
ここに来てからずっと挙動不審な奴が言うセリフじゃない。
「別に俺ももう気にしてないし、お前があいつと別れられただけでそれでいいよ。だからこれからも普通に接してくれると有難いんだけど」
「気にしてない……?」
「まぁ、俺もあまり実家には帰らないからそう接点はないと思うけど」
「えと、何を気にしてないって……?」
「え、だからお前に振られたことだよ」
「……え?」
思いもよらないことを言われ、一瞬フリーズしてしまう。
え?
何だって、私がそうちゃんを振ったって……?
え、私そんなこと言った……!?
本当は色々苦々しくてあまり思い返したくないあの修羅場。
そんな中で、そういえば……、とそうちゃんに暴言を吐いたことを思い出す。
……もしかして、私がこんな気まずそうにしているのは、振ったそうちゃんを気遣っているとでも思ってるの?
嘘でしょ……っ?