1%のキセキ
「おい桐山だろ?」
不躾に話しかけられて、そうちゃんが怪訝そうに相手の顔を睨む。
「は?」
見覚えのある、くっきり二重瞼に人懐っこい笑顔。
「も、もしかしてしゅんちゃんっ?」
そのワードにそうちゃんも納得したように、あーと声を漏らした。
正体が判明してそうちゃんが車の窓を開けた。
「こっち帰ってきてたのかよ、言えよなー」
久しぶりの再会だってのに、図々しくそうちゃんの肩を叩いた。
「最近帰って来たばっかだったんだよ」
「あ、彼女?……って、西川じゃんっ。え、付き合ってたの?」
「……いや」
「てか、今修羅場?うわーごめん、俺もしかして邪魔しちゃった?」
じろじろ人の顔を見たと思ったら、私の赤くなった目に何を勘違いしたのかそう聞いてくる。
「違うって」
「ま、来月また会えるからな。またそん時飲みながら色々話そうぜ」
「来月?」
「なんだよハガキいってないか?俺ら今年厄払いだろ。西川、絶対こいつ連れて来いよ」
そう言われて、作り笑いをしながら誤魔化す。
そう、来月は確かに厄払いのあと同窓会がある。
だけど絶対そうちゃんは来ないだろうな。
そういう場嫌いだもん。
そして彼は、勝手に乱入してきたと思ったら、あっさり去って行った。
茫然としながら、しゅんちゃんの背中を見送る。
あぁ確か、しゅんちゃんの実家この辺だったかも……。