1%のキセキ




『辛くなったらおいで』

そう言って私の思いを涙を、抱きとめてくれた彼の温もりをまた欲しいと思ってしまった。

勇気を出して彼に電話した。
すると、二つ返事でいいよと言ってくれた。
ほっと胸をなでおろしながら彼の家へ。



「いらっしゃい」

玄関先、ドアを開けて穏やかに微笑みながら招き入れてくれる。
しかし私は未だに上手く笑顔を作れなくて、それを隠すように深く頭を下げた。


「……すいません、お邪魔します」

「飯は?どっか食べ行く?」

「あの大丈夫です、食べてきたので」

私をソファに座らせると、彼の電話が鳴った。
画面には女の子の名前が。

それに彼が出ると、声を潜めながら話し始めた。


「……だから、さっき今日はだめだって言っただろ?」

神経過敏な私の地獄耳。
内容が内容なだけに、嫌でも彼の話声が入ってきてしまう。


「は?なんで?意味分かんないんだけど」

苛立ちがこめられ始めた声、やがて部屋を出て行った。

来た時からついていたとあるバラエティ番組、だけどそんなテレビの内容なんて全く頭に入って来ない。

……やっぱり私なんかが来たら迷惑だっんだ。

つい彼の優しさに甘えてのこのこ来てしまったけど、急に来られても彼だって迷惑だ。

私より深い関係にある女性は何人もいるみたいだし……。

私なんかちょっと可哀想だから相手してもらっているだけなのに。










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