1%のキセキ
久しぶりに会うの楽しみにしてたのになー……。
今までの意気込みがさーっと引いて、ぽかーんと口を開けて茫然とする。
「あれ、なんか魂みたいなの抜け出てない?大丈夫?」
「あらあら、意気消沈しちゃって。ちょっと可哀想ね」
面白おかしくケラケラ笑う真結と、頬に片手を乗せ心配そうなお母さん。
「……あの気になってたドレスでいいや」
すっかりやる気のなくなった私は結局、一番最初に気になったドレスにすることに。
濃いボルドーのドレスで、ウエストできゅっと絞れるもの、スカートはひらひらなフレアタイプ。
レースのフレンチスリーブで二の腕カバーもバッチリ。
帰宅後、もう一回鏡の前でファッションショー。
クローゼットから出してきたゴールドのレースのストールを羽織って、ストールと同系色のクラッチバッグを持つ。
「それ、二の腕全然カバーされてないよね」
「ちょっと、肉を摘ままないで!」
勝手に部屋を覗き込んでいた妹がそう言うと、不躾にぷにぷにと私の二の腕を摘まんだのだ。
いいや、そうちゃんが来なくても純粋に久しぶりに皆と会うの楽しみだし。
せっかくドレスも新調したんだから楽しんで来よう。
そしてとうとうやって来た同窓会当日。
本来、厄払いがメインなのだが、私達のメインはやっぱり同窓会だ。
厄払いの後、市で一番大きなホテルの宴会場を貸し切って行われていた。
久しぶりに会うクラスメイト達、中学卒業以来会っていなかった子達もいて懐かしい気持ちになる。
ひとしきりに皆の近況や昔話をしたところで、自然に転々と昔仲良かったグループで集まり始めた。
私も結婚式に呼んでいた4人グループの中に。
すると、酔いが回ったとある友達にぐいっと詰め寄られる。
「ねぇ、未結、なんでまた結婚式直前で別れたのよ?」
やっと気の知れた仲間達だけになったところで、見計らったかのように聞いたきた。
私もはっきりとした理由を言っていないし、皆が気になってもなかなか聞けなかったことなのだろう。
皆、私の顔を興味津々に食い入るように見つめる。