1%のキセキ
「とんでもないことが起きない限りあり得ないじゃない」
「何?浮気でもされた?」
「ほら、ぐいーっと飲んで愚痴っちゃいなよ」
そう言って勧められるお酒。
それに少し口をつけて、この際だからと話し始めた。
「いやさー、それが色々あったんだよー……」
誰にも相談せず、久しぶりに会ってもいいことしか言ってなかった私。
だって、そんな彼別れなよって言われると思ってたから。
「え、最悪じゃん、そいつ!」
「なんで別れなかったのっ?」
一通り話し終えたところで口々に予想通りの答えが返って来て、おっしゃる通りです、と心の中で反省する。
もちろん一通りの中には、そうちゃんは入っていない。
「えー嘘でしょ、もう私の可愛い未結に何してくれちゃってんのよー」
面倒見のいいおばちゃんキャラの友達は私を抱きしめながら頭を撫でて慰めてくれた。
「まぁ、でも結婚しないだけ良かったか」
「そうだね、そんな男と結婚してたら悲惨だったよ」
「本当、目が覚めて良かった。その時は、もう彼しか見えてなかったからさ」
しんと一瞬静まって、1人の子が悲しげな顔をしながらに私の肩を軽く叩いた。
「もう相談してくれたっていいんじゃんっ」
「そうだよ、未結がそんな酷い目にあってたなんて全然気付かなかった」
それに同調するかのように、眉をひそめるもう一人の友達。
「ごめん、ごめん。皆も皆で忙しいと思ってさ」
そう謝ると、暗い話題から明るい内容に話しを変え始めてくれた。
「てかさ、未結って本当どうしようもない男ばっかり好きになるよね」
「今も変わってないなんて」
茶化すようにそう言われ、友達の肩をもうっと叩く。
「もーそれ言わないで」
「ほら、見てみなさいよ。あの騒がしいお祭り男を」
そう促されて見た方向には、顔を真っ赤にして友達と肩を組みながら飲んでいるあいつの姿が。