1%のキセキ
「あー、しゅんちゃんねー」
「ちょっと恥ずかしくなるからやめてっ」
「こうちゃんにしてみてもねー、あのお祭り男と肩組んじゃってるし」
あぁ、よく見てみれば少し背の低めの彼はこうちゃんっぽい。
2人は同じ野球部だけあって仲も良かった。
しかし、
「本当、皆変わんないね」
宴会場を見渡して発した友達の言葉。
思わず、うんうんと頷いてしまう。
あの野球部だった2人も中学時代はずっと坊主だった、今じゃ髪も生えてセットしてるけど、あの頃の面影がそのまま残っているからすぐに分かる。
「で、宗祐君は?」
1人が放ったその一言に一斉にギラっと捕食者のような目で睨みつけられる。
……あぁ、変わってないこの感じ。
とりあえず宗祐君のことは幼馴染の私に聞いとけっていう。
ぽつりぽつりグループでいたのにその一声が聞こえたのか、クラスの女子達がちらっとこちらを見やる。
あー、今頃耳ダンボにしてるんだろうな。
楽しみにしている皆には悪いけど、そうちゃんは来ないんだよ。
母親づたいに来ないって聞いたことを言おうとした矢先。
男共の方がどっと賑やかになった。
「おー、宗祐ーっ」
「もう来てくれるって信じてたよっ、心の友よ!」
「しっかし、相変わらずいい男だな」
「マジでこっち帰って来てたのかよ、言えよなー」
まさか、そうちゃんっ!?
わいわい騒ぐ中心を捉えようと、ひょこひょこ忙しなく頭を動かす。
そしてやっと目に入ったのは、ビシッとスーツ姿のそうちゃん。
高そうな紺色の細身のスーツに、青っぽいネクタイ。
長身な彼にとても似合っている。
はー、なんてかっこいいの……っ。
それはもう、うじゃうじゃそうちゃんを囲む男達がかすんで見える程。
思わず目をハートにしてうっとり見とれてしまう。