1%のキセキ


「もうさ、目の保養だよね、見てるだけで十分」

「てかさ、あれで医者ってやばいよね。まだ独身?」


いつの間にかクラスメイトの女子が1つのテーブルに集まり、密談していた。


「あーここからじゃ、指輪なんて見えなーい。ねぇ、未結何か聞いてないのっ?」


その質問に素知らぬフリをして答える。


「け、結婚したとは聞いてないよ」

「マジでっ!?」

「いやいや、うちらみたいな一般人相手にされないから」

「でもどんな人と付き合うんだろうね」

「うちら一般人が想像もつかないような、芸能人レベルでスタイルが良くて綺麗な人でしょー」


芸能人レベルでスタイルが良くて綺麗な人……。


ガラス窓に映った自分の姿をちらっと見つめた。

あぁ、確かに少し太ったかもしれない……。

ぷにぷにな二の腕、揺れないように動きを最小限にしている。
そして少しでも細く見えるように脇を微妙に開けながら。

ウエストは中世のヨーロッパの貴人如く、コルセットを限界まで締め上げている。
足りない身長はヒールで底上げ。

大丈夫かな、私一般人レベルには達してる!?


柔らかい二の腕をぷにぷに触る。
あーなんて柔らかい憎き脂肪。

そうちゃんに好きになってもらったからってすっかり気が緩んでいた。

あの隣に並ぶのなら、ぶーちゃんは許されない。

殺気立ちながらそうちゃんの彼女について語る皆を見てそう思った。



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