1%のキセキ
そんな中、壇上に上がったお祭り男ことしゅんちゃんがマイクを持って話し始めた。
横にも2人しゅんちゃんの仲間達が並んでいる。
「えー、宴もたけなわですが、実は、本日皆さんに素敵なプレゼントを用意して来ましたー」
皆、プレゼントと聞いて一斉にざわつき始める。
「なんだろう、ビンゴゲームでもするのかな?」
「でも景品なくない?」
確かに。
檀上にはプレゼントらしきものは見当たらない。
ざわつきがおさまり切らない中、またしゅんちゃんがマイクに向かって話し出した。
「小学生の頃、校庭の隅に皆で埋めたタイムカプセル覚えてますでしょうか?実は私今日来る前に勝手ながら掘り起こして参りましたー」
「えーっ、ちょっと、あんたまさか読んでないでしょうね」
女子から飛んだ茶化しまじりの怒号。
それに、すぐさまマイク越しに、
「よ、読んでねぇよ」
と、答えるとあちこちで、くすっと笑い声が。
「えー、私なんて書いたっけ」
「全然覚えてなーい」
どよめく場内。
そんな中、しゅんちゃんや仲間たちはてきぱきと取り仕切っていく。
「では皆さんクラスごとに取りに来てくださーい」
古びたお菓子の缶カラ、ところどころ錆び付いているがこのデザインはなんとなく覚えている。
そこから一人一人折り畳んだ紙を手渡された。
何て書いたか全く覚えていないが私の手にもそれは渡ってきた。
小さく折りたたまれた紙。
ドキドキしながら、紙を開いていった。
一体小学生の頃、私は何を考えていたんだろう。
後ろから誰にも覗かれないよう、こっそり読み始める。
『大人になった自分へ
忘れ物は減りましたか?
甘いものを食べ過ぎて、ぶくぶく太ってませんか?
私は勉強も運動も苦手で、これといって得意なことがありません。
その上間抜けでおっちょこちょいです。
大人になっても変わってないでしょうか?ちゃんと仕事ができているか心配です』
うわー……、子どもの頃の自分に心配されるって、なんか複雑だな。
出だしからろくなことが書かれておらず、うきうきしながら読み始めたのに、打って変わって思わずしかめっ面になってしまう。