1%のキセキ
なんて感慨深く昔の自分との対面に浸っていると、後ろから友達が覗き込んできた。
「なんて書いてあったー?」
「だめっ、見せられないっ」
私はそう言って、すぐさま紙を折り畳んで隠した。
「そんな一所懸命隠されたら余計気になるんだけど」
「だめったら、だめっ」
なんて押し問答を繰り返していたら、頃合いを見計らったようにしゅんちゃんがマイクを使って切り出した。
「では、ここからが本日のメインイベント。何人かにここで発表してもらおうと思いまーす」
は……?
さすが、しゅんちゃん。まさかそんなことをさせられるなんて。
フロア全体に阿鼻叫喚がこだまする。
……どうしよう、こんなの絶対読めないんだけど。
「さぁ、一番バッターはーっ、」
ジャジャジャ、そう言いながらBOXの中をかき回すしゅんちゃん。
「じゃーんっ、3組の町田君!」
そう言って、両手と顔をぶんぶん横に振って嫌がる町田君。渋る彼を檀上へ強制的に上げさせる。
確か中学では剣道部に入っていて、たれ目が特徴的ないつも物静かな子だった。
地元の幼稚園から小学校、中学まで皆一緒だったのだ。
同級生は総勢80人弱いるが、この中でクラス替えを繰り返してきた。
全く顔も名前も分からないっていう人はいない。
ほぼ皆が身内のような関係だった。
そんな町田君とは確か、小学校低学年の頃一緒のクラスになったことあったな。
国語の朗読の時、いつも声が小さくて先生に怒られてた。
そんな彼は大人になってもあまり変わってない様子。眉を八の字にさせ頭を掻きながら、困ったように発表し始めた。
『えーと……。大人になった自分へ。僕は今、切実にイブニング娘のさっちと結婚したいです』
彼の第一声に、なんだそれっ、と周囲から聞こえてくる言葉。
つい私も笑ってしまう。