1%のキセキ



「えっまじで?てか、俺でいいの?」

回し読みしてたのか、そうちゃんの周り一帯の男子が意味深にニヤニヤしている。

「なんだよ、皆して気持ち悪いな。はいはい宗佑、上がった上がった。」


あ、そういえば、そうちゃん白紙で出して、ちらっと見た先生から珍しくつっかえ返されてたな。

そうちゃんが壇上に上がるとちらほら女子の黄色い声が上がった。
やや騒然とする中、マイクに向かって話し始める。


『大人になった自分へ。

今、自分には夢中になれるものも将来の夢も特にありません。

大人になった自分が一体どんなことに興味を持って、どんな仕事をしているのか見当もつきませんが、

とりあえず大学に行って、手堅いところに就職していてくれればいいです』


そこまで読んだところで、仲間の方から失笑が漏れ出す。


「本当に夢もへったくれもないつまんねーガキだな」

「あいつ、昔から達観してたからなー」


しかし、隣でムービーを撮っていた女子がそんな2人を黙らせる。


「しっ、うるさい」

真剣な眼差しに、顔を引きつらせながらも素直に従う男子。



『今の自分のことに関して特に大人になった自分へ伝えたいことはありません。
何か、特筆することがあれば、とりあえず、しゅんすけがいつもうるさいこと位です』


突然名指しされ、素っ頓狂な声を出す司会。

「はっ?」


『皆が多感な時期になって、子供じみたスカートめくりだかを自重し始めた中、しゅんすけは未だに女子のパンツについて真剣に考えています。
特に2組の小笠原さんがタイプなようで、階段を登っているところを見つけると、いつも食い入るように下から覗き込んでいて本気で気持ち悪かったです。
こいつの行く末が心配です』


どっと湧く場内、しゅんちゃんの顔が一瞬にして赤くなる。

「おいこらそうすけっ!」



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