1%のキセキ
『とにかく授業中うるさくていつも迷惑してました、いつか復讐のネタにして下さい』
「はははっ。しゅんすけ、仕込みかー?」
場内から飛んだそんな野次に、
「こんな仕込みする訳ねぇだろっ」
と更に顔を赤くしながらしどろもどろに答える。
当の小笠原さんは、心底軽蔑したような表情でしゅんちゃんを見つめていた。
学生時代、彼女は野花が似合うようなほわほわ女子だったが、今ではそんな姿見る影もない。
一瞬、間が空いた後、更にそうちゃんの発表は続いた。
『……そして、あの子とはどうなりましたか?
俺はずっと後悔しています。
何も目標も希望もなく、坦々とした日々を送っていますが、もし一つだけ願いが叶うなら、あの子にもう一度自分のために綿毛を吹いて欲しいんです。
きっとその子はそんなに変わっていないような気もしますが、どんな女性に成長していますか。
俺のまだ見ぬその人に会えることができるあなたが羨ましいです。
今度は後悔しないよう素直な気持ちを伝えて下さい』
……ーーっ!
そ、そんな私しか分からないことを何もこんな場で言わなくたって……っ!
しゅんちゃんの暴露話で終わっても良かっただろうに。
え、誰、誰のこと?と、きゃっきゃしながら女子を中心にざわつく。
私はそうちゃんの方をちらりとも見れず、素知らぬフリをしながらスパークリングワインが入ったグラスに少し口づけた。
アルコールは控えていたが、真っ赤になった頬を酔いで少しでも誤魔化したい。
「はい、私かもと思ったそこのあなた。間違いなく自分ではないので無駄な期待はしないでくださーい」
そのコメントから、男性陣の方からどっと遠慮のない笑い声が。
「たく、自分だけ相手の名前はぼかしやがって。はいどんどん次行きますよー」
暴露されたことを根に持っているのかそんな小言を言いながら、また気を取り直して進行し始めた。