1%のキセキ



「なんか、ルームサービス頼もうか?」

そうちゃんはベッドから出ると、ルームサービスのメニューを見始めた。


……あれ?
これ、今日もしかしてしないパターン?

この前しゅんちゃんが乱入してきた時みたいに、また中断?
まさかこんなシチュエーションで?

……私達この先には進めない呪いにでもかかってんじゃないの。

がくっと項垂れる。


いや、腹の虫がおさまった今なら大丈夫。
それにダイエット中と宣言したところ、そんなルームサービス如きの誘惑に負けてたまるか。


「いい、大丈夫」

きっぱり言い切った私に、


「パスタ、ピラフ、ミックスサンド、色々あるけど?」

次々と私の好きそうなものを読み上げていくそうちゃん。


ぐっ、堪えるのよ。
ここで負けては、先には進めないんだから。


「ハンバーグに、ステーキもあるって」

更に付け足して言われるも、私は頑として頷かない。

「ううんっ、いいの」

そんな素直じゃない意固地な私を頷かせたいのか、そうちゃんもなかなか引き下がらない。


「あ、でもこのメニューは11時までだって。それからは深夜のメニューに切り替わるから頼むなら急がないと」

腕時計を見ながらちょっとわざとらしくそう言う彼に、私もパッと室内の時計で時間を確認する。


なんと11時になる10分前。

ゆ、悠長にしてられないじゃないのっ。

さっきまでの決意が揺らぎ、どうするとそうちゃんに聞かれる前に、私はついに「ミックスサンドが食べたいっ」と叫んでいた。


そんな私に爆笑するそうちゃん。

なんでよ、そう仕向けたのは、そうちゃんじゃん。


「何か飲みながら食べるか、どうせろくに飲み食いしてないんだろ?」

「う、うん」

「ミニボトルの洋酒ならあるけど、せっかくだからワインでも頼む?あ、お酒飲めたっけ?」

「多少は……」



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