1%のキセキ
食堂で、部長と向かい合って竜田揚げ定食を食べる。
「部長、1つあげます」
「いいって、いらないよ」
部長の皿に自分の竜田揚げを一個乗せようとすると、避けるように皿をどかして拒否する部長。
「はいはい、そう言わずに」
そう言って強引に竜田揚げを乗せた。
「はー、ただでさえ、ご飯てんこもりにされたんだから勘弁してくれよ」
一気にため息を吐き出す部長に、私はにっこり微笑む。
食堂のおばちゃんにお願いして部長の分を大盛りにしてもらったのだ。
「その分おかずが必要でしょう?なんだったらもう一個あげますよ?」
もう一つ箸で掴んで、部長の竜田揚げの山の上にもう一つ乗せようとする。
すると今度は箸で止めなさいというように左右に振った。
「こら、やめなさいっての。君のせいでね、どんどん体重増えてるんだからな」
「ふふふ」
思わず、嬉しくて笑ってしまう。
「何を笑ってるんだ、この年になるとな、ついた脂肪はなかなか落ちないんだぞ」
「脂肪なんてどこにもついてないじゃないですか?」
「お前に何が分かんだよ、私の裸を見た訳じゃ……って」
自分で言っといて顔を赤くする部長。
そんな可愛い顔をされると意地悪したくなってしまう。
「見てるじゃないですか」
きょとんとしながら言うと「ここでそういう話をするんじゃない」と、もごもご小さな声で言う部長。
「大丈夫です、部長の体は素敵ですよ?もう少し太った方がちょうどいい位です」
「だから、そういう話をだな……っ!」
周りを見ながら声をひそめる部長の後ろから、見知った奴が割って入ってきた。