1%のキセキ


そして、なかなか俺の顔から外れない視線。
耐え切れず、聞いてしまった。


「……えっと、何か」

そう聞くと、はっとした様子で申し訳なさそうに話し始めた。

「あ、すいません。面影あるなと思って。今、未結の家で小さい頃のアルバムを見せてもらったんだけど、よく君が写っていたから」

なるほど。
だから、俺の顔をずっと見ていた訳か。

アルバムを見ていたってことは、結婚式で使う写真でも選んでいたのだろうか?

そう言う杉山さんに、キッチンから両手に料理やら飲み物を持ってやってきた母親二人組が口を挟んだ。


「昔は何をするにも、ずーっと一緒だったからね」

「でも、あの未結ちゃんが結婚なんて、ちょっと寂しくなるわねー。この前までこんな小っちゃかったのに」

「そうよね、あんなおてんばだった未結が……」

しみじみ言う2人。
小さい頃をよく知っている2人に、未結は何を言われるのか気が気じゃない様子だ。

「覚えてる?よく田んぼに遊びに行っては蛙を捕まえてきて、宗佑君の靴の中に入れて悪戯してたの」

「覚えてるわよ、それだけじゃなくてザリガニだとかヤモリだとか川で捕まえてさ、よく宗佑追っかけまわしてたわよねー。もうこの子ったら情けないことにぎゃんぎゃん泣いちゃって大変だったわ」

テーブルいっぱいに料理を広げ、飲み物をついでいきながら昔話を懐かしそうに好き勝手語り出す。

その話に顔を赤くしながら未結が止めに入る。

「ちょっとその話やめてくれる……?」


佐智子さんが感慨深そうに未結を見つめると、その後杉山さんに目配せした。


「本当こんな子に貰い手があって良かったわ。裕樹くんには感謝しないと」

うんうん、と頷く真結ちゃんに、いえいえと言いながら謙遜する杉山さん。

未結は、何それ、と言いながら苦笑した。


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