1%のキセキ



<side 未結>




「とりあえず頭の中に異常がないか、CT撮ろう」


そうちゃんにそう言われて、看護師さんから検査室前の待合室に案内される。

待合室で思わず、ぽーっとしてしまう。


……白衣姿のそうちゃんかっこよかったなー。眼鏡なんてしちゃって。

勉強のし過ぎで目悪くなっちゃったのかな。

傷を見るのに、頭に触られて顔が近づいてきた時はドキドキしちゃった。



頭部CTという、頭の中の写真を撮ってまたそうちゃんの元へ。

パソコンで私の頭の中が映ったモノクロ写真を見る。

すごいな離れたところで撮ってきたのに、すぐにこっちのパソコンに反映されるんだ。

なんて感心していると、そうちゃんが写真を見てすぐに説明し始めた。


「これを見る限り、皮質下出血だけだから問題ない」

「ひかしつしゅっけつ?」

問題ない?

なんか、名前はやばそうなんだけど。


「ただのたんこぶだ」

そうちゃんは頭にハテナマークを浮かべる私に分かりやすく教えてくれた。

「あぁ、なるほど」

「多分大丈夫だろうけど、頭を打って1~2か月後に頭痛や吐き気、手足の力の力の入りにくさっていう症状が出てくる場合もあるから、その時はすぐに受診するように。慢性硬膜下血腫っていって、硬膜とくも膜っていう脳内の膜の間に血が溜まる病気で……」

頭の解剖図を紙にざっと書いて、ボールペンで場所を指しながら説明してくれる。

名前だけじゃ、何を言ってるんだか、ちんぷんかんぷんだけど書いてくれるとすごく分かりやすい。


……でも、頭の中に血が溜まるなんて、なんだか怖いなぁ。


「そんな怖い顔しなくても大丈夫だ。これ位の傷だったら、血が溜まったとしてもごく少量だろうし。若いからたいてい吸収してくれる」


顔にすぐに出る私に、すぐに説明を加えてくれるそうちゃん。


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