1%のキセキ
……あれは中学2年の終わり頃。
未結は野球部のお調子者のこうちゃんと付き合っていた。
きゃっきゃっとまるで二人とも小動物のような、お似合いのカップル。
そして、こうちゃんこと康介と何故か俺は友達になっていた。
未結に協力しろと言われ、こうちゃんとやらに話しかけているうちにすっかり奴に懐かれてしまっていたのだ。
奴はクラスの中でも明るくよく冗談を言う奴で、未結と付き合うようになってからは一層まぶしく感じた。
よく康介には羨ましいと言われた。
同級生のみならず、後輩、先輩にもモテる俺が。
……羨ましいのはお前の方だ。
俺はいくら誰に想いを寄せられても、自分が1番に想う相手には絶対に振り向かれないのだから。
そしてその相手が好きなのはお前なんだ。
なぁ、教えてくれ。
どうやったら彼女に好きになってもらえるのか。
いつからだろうか、黒いもやもやが俺の心に影を差し始めたのは。
お前がにこにこ楽しそうに、未結の話をする度どんどん大きく俺の心を蝕んで行くんだ。
なげやりになっていた頃、一つ年上の大人っぽい先輩に声をかけられて成り行きで付き合うことに。と、言うのも襲われてトントン拍子に付き合うことになっていたのだ。
彼女が好きだった訳じゃない。
だけどやさぐれた俺の唯一の癒しだった。彼女の体に触れると全てを忘れられるような気がした。
だけど黒いもやもやが消えてくれる訳じゃない。
そんな中、あいつに神妙な面持ちで相談されたのだ。
『なぁ、宗佑。どうやってヤるの?』
『は?』
『お前もう経験済みだろ?』
『あぁ……まぁ』
『全然そんな雰囲気にならないんだけど』
それからというものの奴から、その手の話題で相談を受けることが多くなった。
正直吐き気がした。
未結が他の男とそんなことするかもしれないと考えるだけで、気分が悪くなった。しかし奴には、する権利がある。