ひまわり
「笑わないで聞いてね…？」

口を開いた私に対して、コクコクッと首を頷かした千沙ちゃん。
大きく深呼吸をしてから話を始めた。

「…小学四年生の頃から同じ夢をよく見るようになったの。」



───初めて見たのは小学四年生。

高校生くらいの男の人が、私に向かって微笑んで話しかける・・・ただそれだけの夢。

男の人は特別かっこいいわけじゃない。
少しタレ目な優しい目。
スラッと細身で背が高い。
黒髪でスッキリとした髪型。

声は・・・わからない。
話しかけてはくるけど、声は聞こえない。

初めて見た時は誰なのか不思議だった。
ただ胸がドキドキと高鳴っていただけ。

でも・・・
それから何度も何度も同じ夢を見るようになった。

週に一回の時もあれば、毎日見るときもあって、定期的っていうわけではなかったけど。

夢を見るたびに、私は夢の中の『彼』に惹かれていった。


『彼』を見ると、心がドキドキするの。
なのに、すごく安心感に包まれるの。

『彼』に会える夢を心待ちにする自分がいた。

どんどん・・・どんどん・・・好きになっていった。


夢でしか会えない人が私の好きな人───
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