ひまわり
「そんな恋をしてて、気づいたら高一になっちゃた。バカみたいだよね～。」

一通り話をして私は笑ってみせた。
過去にこの話をしたことが数回ある。
でもそのたびに「いつまで夢みてるの？現実を見て恋しなよ」って笑われた。

だから誰にもこの話をしなくなった。
愛実だけは「結麻らしい恋の話だね」って笑顔で聞いてくれたの。


話を聞き終えた千沙ちゃんは黙って俯いている。

・・・笑うの堪えてるのかな？

シーンと静まってしまった私たちのテーブル。
ざわざわとした店内の音が、やけに大きく聞こえる。

すると、突然顔を上げた千沙ちゃん。
その顔を見て私は驚いた。
なんと涙ぐんでいたのだ。

「結麻ちゃんは一途に想ってるんだねぇ～。」

愛実も隣で驚いた顔をしていた。

「…笑わないの？」

恐る恐る千沙ちゃんに聞く。
純粋な彼女を疑うわけじゃないけど、この反応は初めてで、疑問に思ってしまった。

ふるふるっと顔を横に振って答える千沙ちゃん。

「笑わないよ！！だってその恋が叶ったら運命みたいだもん！」

真剣な千沙ちゃんの表情に、私は思わず笑ってしまった。
コロコロ笑う私をキョトンと見ている。

「そんな反応の人初めて見たよ。」

周りからの反応を間近で見てきた愛実が千沙ちゃんに言う。
「え～！！」と声を漏らす姿が可愛くてたまらなかった。
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