ひまわり
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───ガタッ

「何なんだよ。部活の話なんて、さっきのミーティングで話しただろ。」

永峰の前から離れたあと、俺は誰もいない教室に、伸也を連れていっていた。
電気はつけず、暗い中で二人は向き合う。
無理矢理、連れてこられた伸也の声は怒りが混じっている。

「永峰が好きなのか?」

俺は唐突に質問をする。
さっきまでヘラヘラとした笑顔を作っていたが、今は真剣な顔。
伸也は俺を軽く睨んだまま、少しの間黙った。

「…そんなの遼には関係ねぇだろ。」

沈黙を破った伸也の言葉は質問の返事ではなかった。
けれど否定しないのは肯定したようなもの・・・そう感じ取った俺は凛とした声で、自分の気持ちを言葉にする。

「関係ある。俺は永峰が好きだ。」

暗い教室に響いた声。
それは全くの迷いなく、秘めた想いを口にした瞬間だった。

「…付き合ってるわけじゃねぇだろ。邪魔すんなよ。」

「それは俺の台詞だよ。邪魔するんじゃねぇ。」

睨み合う二人。
遠くからは、家路に急ぐ生徒たちの声が聞こえてくる。
突然、二人のいる教室の前がガヤガヤとうるさくなった。

「おい!お前ら、こんな暗い教室で何してんだよ?早く帰らねぇと顧問がうるせーぞ。」

同じバスケ部の友人に声をかけられた。
すると、ずっと睨んでいた伸也がフッと静かに笑う。

「…何が可笑しいんだよ。」

「別に…。俺のが永峰さんのこと知ってるんだったって思ってさ。」

それだけ言って、伸也は教室を出て、友人たちの輪の中に混ざっていった。
残された遼には森の言葉の意味が理解出来なかった。
ゆっくりと教室を出ながら考える。

「…連絡先を交換した時が…初対面なんじゃないのか…?」

永峰と伸也が連絡を取るようになってから、まだ二週間ほどのはず。
俺が聞いた話だと、初対面だったうえに、永峰は連絡とるのが億劫になっている・・・ということだった。

伸也の意味深な言葉と笑顔。

『あいつは油断できない』

俺はそう思うばかりだった。
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