ひまわり
あの日の千沙ちゃんを思い出すとニヤニヤしてしまう。
顔を赤くして、二人きりは無理だと言う姿がとても可愛かった。

でも・・・千沙ちゃんの気持ちもわかる気がする。
私も好きな人と初めて二人で出掛けるってなったら、恥ずかしくて無理ってなっちゃう気がするもん。

「…タイミングを見て、二人きりにしてあげようね♪」

千沙ちゃんのためのような愛実の提案。
でも・・・愛実は少し意地悪な笑顔。
ちょっと面白がってるな

「そうだね♪せっかくのデートだもんねぇ~♪」

私も少し意地悪っぽく言ってみる。
千沙ちゃんに聞かれたら怒られそうな話をしていると、降りる駅に到着した。

駅から10分くらい歩くと遊園地に着く。
入り口到着すると、たくさんの人。
家族連れやカップル、私たちのように友達同士のグループなど、色々な人達がいる。

その中に遼くんと千沙ちゃんの姿があった。
余裕を持って出発していたから、待ち合わせ時間の15分前。
遼くんと千沙ちゃん・・・来るの早いなぁ~

「千沙ちゃーん!遼くーん!」

名前を呼びながら、二人のところへ駆け寄った。
私服姿の二人が新鮮だった。

「おはよう♪二人とも早いね。」

明るく二人に挨拶をした。
すると、遼くんはいつもの笑顔で返してくれたけど・・・千沙ちゃんの声にいつもの明るさがなかった。

「おはよう…。」

「どうしたの?なんかテンション低くない?大丈夫?」

もしかして具合でも悪いんじゃないかと、心配で声をかけた。
千沙ちゃんはふるふると顔を振り、小さな声で答える。

「…緊張しちゃって…あんまり寝てないの。…今もドキドキして…。」

可愛らしい理由に、聞いてるこっちまでドキドキしてきてしまう。
今にも消えてしまうんじゃないかと思うくらい、緊張で小さくなっている千沙ちゃん。
それをからかいだしたのが愛実。

「もう~!!相変わらず、可愛いなぁ~!!ちゃんと二人きりの時間は作ってあげるからね♪」

「え!?いいよ!!みんなで一日行動しようよ!!」

「え~♪お邪魔虫になりたくないんだけどなぁ~♪」

そんな二人のやり取りをクスクスと笑って見ていると、遼くんが私に話しかけてきた。

「今日は晴れて良かったね。」

「そうだね!すっごい良い天気で良かった♪」

雲のない青空を見上げた。
明るい太陽のおかげで、今日はとても暖かい。
お気に入りの花柄ワンピースに上着という服装が出来た。
このワンピース、春物だからちょっと薄地で暖かい日じゃないと、まだ寒くて着れなかったんだよね

「さすが俺♪晴れ男なんだよね♪」

自慢げに話す遼くん。
実は遼くんと一日お出掛けは今日が初めて。
シャツにジャケットを羽織って、細身のジーパンをスッと合わせている姿は・・・制服と違ってちょっとドキッとしてしまう。

「あはは。晴れ男の遼くん、ありがとうございます。」

見慣れない姿に戸惑いながらも、いつもの様にケラケラ笑いながら会話をした。
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